コラム8-3 OIDの話し
H.245を始めとする通信制御プロトコルの中で,例えばジェネリック・ケイパビリティなど,他と紛れることのないIDでオブジェクト(対象物)を識別する必要があります.その一つがITU-TとISO/IECの共通テキスト標準ITU-T X.660|ISO/IEC 9834-1[8-16]が定めるOID (Object IDentifier)です.
OIDはツリー状の数字列で作られます.最初の枝は次の3つです.
- 0: ITU-T
- 1: ISO
- 2: Joint ISO-ITU-T
次の枝は各機関が管理します.ITU-Tの下には,次の枝が定義されています.
- 0: Recommendation
- 1: Study Group + Study Period
- 2: Administration
- 3: Network Operator
- 4: Identified-Organization
- 5: R-Recommendation
- 9: Data
例えば,勧告ITU-T H.245 Version 1は次のように表されます[8-3].
{ITU-T (0) recommendation (0) h (8) 245 version (0) 1}
そして,これは{0, 0, 8, 245, 0, 1}の数字列で表現され,ASN.1の符号化によりビット列に変換されて,回線上を流れます.
もう一つのOIDの例は,勧告ITU-T H.460.27[8-60]が定義するH.323のセッションIDです.ここでは,片方のエンドポイントが乱数に基づく128ビットのUUID (Universally Unique IDentifier)[8-61]をAと設定し,対向するエンドポイントがBのUUIDを設定すると,{A, B}がこのセッションのIDとなります.128ビットの乱数は十分長いので,たとえエンドポイントが自由に設定したとしても実用上ユニーク性を保つことができます.