VTVジャパン テレビ会議教科書

テレビ会議教科書 VTVジャパン株式会社

8.2.3 SIPシステムの呼制御

 SIP (Session Initiation Protocol)はIETFの定めたセッション開始プロトコルで,IP網における2端末間の通信を確立,管理します.H.323におけるH.225.0呼制御とH.245通信制御の両機能を包含したプロトコルです.

 SIPはWWW (World Wide Web)に用いられているHTTP (Hyper Text Transfer Protocol)[8-47〜52]に基づいていて,リクエスト(Request)とレスポンス(Response)の組み合わせで処理が進行します.

 リクエストのメッセージはメソッド(Method)と呼ばれ,受信側に対し定められた機能の実行を要求します.その結果が数字で始まる名前のレスポンスとして返されます.

 通信の開始から終了までの呼制御メッセージの流れを図8-23に示します.通信開始時には,INVITEリクエストに対し100 Trying, 180 Ringing,200 OKのレスポンスが返され,さらに最終応答のACKメソッド(これは特別なメソッドでレスポンスは存在しない)が送られています.

図8-23 SIPシステムの呼接続
図8-23 SIPシステムの呼接続

双方の端末がそれぞれのSIPサーバに収容されている場合の呼接続について,接続開始から終了までの呼制御メッセージの流れを示します.開始時にはINVITEリクエスト・メッセージに100 Tryingや180 Ringingの暫定レスポンス・メッセージに続き,着呼側ユーザの応答で200 OKのレスポンス・メッセージが返され,更に発呼側からACKのリクエスト・メッセージ(これにはレスポンスは付随しない)が送られて,発呼と着呼の処理が完了します.これにより,メディア情報の送受信が始まります.通信終了時にはBYEリクエストと200 OKレスポンスのやり取りが行われます.

 RFC 3261と後続のRFCが定義するリクエスト・メッセージを図8-24に,レスポンス・メッセージを図8-25に示します.またINVITEメソッドのヘッダ例を図8-26に示します.なお,これらメッセージのヘッダ・フィールドはIANAサイトに登録されています[8-53].

図8-24 SIPのリクエスト・メッセージ
図8-24 SIPのリクエスト・メッセージ

リクエスト・メッセージはメソッドとして種類分けされています.最初の6個のメソッドはRFC 3261で定義され,その後,8個のメソッドがこの図に示すRFCで新規に定義され,INVITEについては修正されました.

図8-25 SIPのレスポンス・メッセージ
図8-25 SIPのレスポンス・メッセージ

レスポンス・メッセージはコード番号と機能名で表示されます.100番台から600番台までが定義され,各コード番号に対応したレスポンス動作が定義されています.

図8-26 INVITEリクエスト・メッセージの構造
図8-26 INVITEリクエスト・メッセージの構造

リクエスト・メッセージはメソッド名と宛先を示すスタート行,ヘッダ部分,空白行,ボディ部分から構成されています.ヘッダ部分とボディ部分の間には空白行が入れられ,両者の区切りを示します.ヘッダには宛先などの情報が記されます.