4.4 セキュリティ環境
テレビ会議のセキュリティと聞けば,暗号化を思い出すことが多いかも知れません.暗号化も含め.ネットワークの上を流れる情報の安全性を確保するためのプロトコルについては,第9.9節で触れます.
ここでは,テレビ会議を利用する立場で,どのような配慮が必要かを考えます.会議全体のセキュリティという視点です.
重要な会議であれば,それが開かれること自体が秘密になる場合もあります.また誰が参加するかが鍵になる場合もあります.従って,会議目的に応じて会議場所や時刻が選択されます.テレビ会議でも同様な配慮が要求されます.
次に,会議内容が外に漏れないようにしなければなりません.テレビ会議室で話されている言葉が部屋の外で聞き取られては具合悪いのであれば(多くの場合そうだと思います),テレビ会議室にしっかりした遮音を施さなければなりません.ネットワークに流れる信号から会議内容が判別できないようにする暗号化もこの範疇に属します.
ディジタル時代になり,画像メモリが随所で活用されることが,会議のセキュリティにはリスクとなります.1980年代,第2.3.6項で述べたネットワーク内の映像codecを複数ユーザで共用する商用のテレビ会議システムで,直前に利用したユーザの会議画像がcodecに残り,次のユーザが会議を始めた瞬間にその画像が表示されてしまう事件がありました.一つのテレビ会議セッションが終了する都度,システムを初期化することが必要だった,という教訓です.
会議には会議資料がつきもので,その保存の安全性にも配慮が必要です.これはビジネス資料全般の管理に共通する問題です.
テレビ会議のセキュリティに関する配慮事項をまとめますと次の通りです.
- 会議自体のセキュリティを確保すべく,会議室の場所,運用方法を決める.
- 会議室の話し声が外に漏れないよう,遮音する.
- テレビ会議セッションの都度,システムを初期状態に戻す.
- テレビ会議システムに必要なセキュリティ・プロトコルを搭載する.
- 会議資料を必要な程度に管理する.