2.3.3 静止画テレビ電話
テレビ電話のアイデアが生まれ,1930年には技術的可能性が実験で示されたものの,テレビ電話を電話のような一般的な通信サービスとするには,端末装置と広帯域ネットワークの双方で技術的に未熟な状態が長く続き,現実味を帯びるのは1960年代です.その間,米国ベル電話研究所では1956年までには電話網の帯域で静止画を2秒に1枚送る画像付きの電話が試みられています[2-18].
同様の試みは日本でも1980年代後半に行われています[2-19].当初,相互に接続できない2種類の仕様で商品開発が行われたことから,社会問題になったりしましたので,TTCで国内標準化が行われ,1988年にTTC標準JJ-40.10[2-20]が発行されました.
両方の試みとも,広く行き渡っているアナログ電話網を利用することで,ネットワークの問題を回避しようとする努力ではありますが,電話帯域で実現できる画像通信はパフォーマンスが限られていて(例えば日本の例では1本の電話回線を使っているので,画像を送った後でなければ電話で話すことができない),普及には至りませんでした.