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コラム3-1 フレーム周波数に30/1.001の割り算が出てくる理由

 これはNTSCアナログテレビジョン放送方式のパラメータに関わる話しです.テレビジョン信号は,水平走査(走査周波数fH,白黒テレビジョン時代は15.75 kHz)と垂直走査(走査周波数fV,白黒テレビジョン時代は60 Hz)の2次元走査により作られます.テレビジョン放送では2:1インタレースが採用されていますので,1垂直走査期間に525/2回の水平走査が行われ,

fH = (525/2)fV

の関係があります.またフレーム周波数fFは,垂直走査周波数(フィールド周波数)の1/2です.

fF = (1/2)fV

 テレビジョン信号のエネルギーは,水平走査周波数fHの整数倍のところに集中し,さらに細かく見ますと,そこからfV間隔の位置に集中します.これら山の間の谷にあたる周波数の信号は,画面に表示したときライン毎に白黒が反転し眼には見えにくくなります[3-26].すなわち(奇数/2)fHの周波数の妨害はテレビジョン信号に対しインタリーブの関係にあると言います.
 さて,白黒テレビジョンからカラーテレビジョンに移行する際,色信号をどこに多重して送るかが問題です.輝度信号,色信号,音声信号を多重化した様子を図C3-1に示します.色信号は輝度信号と干渉しないように,なるべく高い周波数位置に多重するのが賢明です.そして色信号の副搬送波は輝度信号とインタリーブ関係になければなりません.またテレビジョンの映像信号は音声信号とも多重され,その搬送波は4.5 MHzの位置に置かれています.従って色信号の高周波部分に音声搬送波があり,両者が伝送環境によっては干渉するおそれがありますので,ここでもインタリーブ関係を保つことが賢明です.
 従って,色信号副搬送波fscはfHの(奇数/2)倍,fscと音声信号搬送波周波数faの差もfHの(奇数/2)倍としますので,faはfHの(整数)倍となります.
 NTSC方式[3-27]では,白黒テレビジョンのパラメータを若干(0.1%)修正することになりますが既存白黒テレビ受像機の許容範囲ということで,次のように定められました.

fa = 286fH = (525x143)fV
fV = 4500000/(525x143) = 60(1000/1001) Hz
fF = (1/2)fV = 30(1000/1001) Hz
fsc = (455/2)fH = 4.5 x (1/286) x (455/2) = 3.5795454 MHz
図C3-1 NTSC放送波の周波数配置
図C3-1 NTSC放送波の周波数配置

NTSC方式では,チャネル間隔が6 MHzと設定され,その中に輝度信号,色信号,音声信号をそれぞれの搬送波を変調することで多重しています.映像信号のスペクトラムはfH間隔さらにはfV間隔の微細構造を持っています.各信号の搬送波周波数は,相互の干渉が最小になるよう,輝度信号と色信号の間で,また色信号と音声信号の間でインタリーブするよう,その差がfHの(奇数/2)倍に選ばれています.