2.3.14 クラウド利用システム
2010年代に入って生まれた新たな動きは,クラウド型テレビ会議システムです.テレビ会議システムに必要な資源を利用者構内の(もしくは物理的場所が外部のデータセンタ内であっても利用者の管理下にある)専用装置に置くことから,IPネットワークに接続されたサーバ群に配置するソフトウェア(すなわちクラウド)に移したシステムをクラウド型テレビ会議システムと呼びます.
元をたどれば,2000年代に登場したクラウドコンピューティングの技術です.クラウドコンピューティングとは「ネットワークに接続されるあらゆる共有の計算資源をサービスとしてすぐ簡単に利用できる仕組み」[2-64]です.
テレビ会議システムでは,MCU,ゲートキーパ,ゲートウェイ(第9.4節参照)など端末以外の構成要素はインフラ機器と呼ばれますが,これらがクラウドの対象です.クラウド型テレビ会議システムの例としてBlueJeans社のHuddle[2-65]があります.
クラウド型テレビ会議システムには次のような特徴があり[2-66],利用者から見たテレビ会議に違いはないものの,産業構造を変える影響が予想されます.
- 利用実態に応じたシステム規模にすることができ,規模の自由度が大きい.
- システム構築を素早くできる.
- クラウド資源を複数ユーザで共有することにより経済性が高まる.
- そのため,冗長系を構築でき,サービスの中断を防げる.