2.3.13 どこでもテレビ会議
2007年6月,Apple社がiPhoneを発売して以来,スマートホン(スマホ)時代を迎えます.スマホは,名前の示すように電話の一種ではありますが,機能的にはむしろPC (Personal Computer)に近い存在です.映像機能を有するうえWi-Fiもしくは3G/4G回線経由でインターネット接続が可能なことから,個人が携帯するテレビ電話,テレビ会議端末としても着目されます.さらに,Apple社は2010年4月にはスマホより大型画面のタブレット端末iPadを発売しました.
これら携帯端末の登場は,出張中や自宅に待機するビジネスマンが会議に参加する,あるいは出張先現場の模様を会議参加者に伝えるなどを可能にします.
現在のテレビ会議システム製品は,図2-19に示すような移動端末を収容可能にできています.移動端末の通信能力,映像表示能力には限りがありますので,MCU (Multipoint Control Unit)やゲートウェイを介して通常の会議端末と接続することが行われています[2-62].2000年代末から2010年代初めにかけての動きです.
スマートホン,タブレットの登場で,外出中あるいは自宅にいるビジネスマンがテレビ会議に参加したり,現場の模様を音声と映像でテレビ会議参加者に伝えたるすることができるようになりました.システム的には,解像度やビットレートの点で異種の端末を収容し相互接続するためのゲートウェイあるいはMCUが必要になります.
移動するテレビ会議端末の範疇に属するもう一つのテレプレゼンス・システムがあります.2000年代終わりに登場した自走ロボットにテレビ会議端末を搭載し,「主人」の代わりに遠方の会議に参加したり,インタビューをしたり,実験模様を見に行ったりする,という使い方です[2-63].ここでのテレプレゼンスは物理的に遠くに存在する,ということを意味しています.これに対し,第2.3.12項で述べたテレプレゼンスは,臨場感,存在感を伝えるシステムであることを意味しています.