VTVジャパン テレビ会議教科書

テレビ会議教科書 VTVジャパン株式会社

ホーム / 7. マルチメディア多重化・同期 / コラム7-1 地上回線と衛星回線を用いた2B通信

コラム7-1 地上回線と衛星回線を用いた2B通信

 1990年10月,NTTのイベント準備で英国BT研究所と2Bテレビ会議(64 kbit/s回線2本を使用)を試験しました.当時,国際ISDNサービスには光ファイバ回線と衛星回線の双方が使われていましたが,サービスは始まったばかりで利用できる回線数には限りがあり,それぞれ数回線でした.従って64 kbit/sの回線を呼接続(B接続)する都度,ある場合には地上回線,ある場合には衛星回線が選ばれる状態です.このようなネットワーク環境で2B接続する(B接続を2回行う)と,端末・端末間では2本の回線間の遅延差が200 ms程度になる場合が生じます.
 この試験に使用したNTT側のハードウェアにはH.221スーパーマルチフレームが未実装で,2回線間の遅延補償は80 ms(マルチフレーム期間160 msの1/2)までの能力しかありませんでした.2本の回線がいずれも地上回線,あるいは衛星回線の場合には遅延補償が働いてシステムは正常に動作するのですが,混在になると映像が正しく受信できない事態に陥るのです.
 何度か接続試験を行って,衛星回線が選ばれた場合,一旦切断して直ちに再発呼すると地上回線が選ばれることが分かりましたので,イベントには当座の対処ができました.衛星回線の数が少ないこと,端末側から呼切断しても回線は少し遅れて開放される,従って次の発呼では別の回線が選ばれる,ということが幸いしました.