2.3.1 ニューヨークでのテレビ電話実験
動画を送受信するテレビジョンの研究は,1920年代に始められ,日本では1926年12月25日(大正天皇崩御の日で,昭和が始まった日)高柳健次郎氏により「イ」の字をブラウン管上に表示する実験が行われました[2-10][2-11].当時の撮像デバイスは機械的に回転する穴の開いた円板(ニプコー円板[2-12])で走査を実現しています.米国AT&Tベル電話研究所では1927年4月7日に片方向のテレビジョン実験を,1930年4月9日には電話に付随する双方向のテレビジョン実験を公開しました[2-13][2-14].双方向の映像伝送に加え,電話の部分にはマイクロホンとスピーカを用いています.
この双方向のテレビジョン実験が現在に続くテレビ電話,テレビ会議の始まりと言えます.AT&Tは電話会社なので当然と言えば当然ですが,テレビジョン技術の応用としてテレビ放送よりテレビ電話を取り上げていることが注目に値します.