ページ ツリー
メタデータの末尾にスキップ
メタデータの先頭に移動

 SIP (Session Initiation Protocol)[9-18][9-30]はIETFの定めたセッション開始プロトコルで,IP網における2端末間通信の始めから終わりまでを制御します.H.323におけるH.225.0呼制御とH.245通信制御に相当するプロトコルといえます.ただし,H.245通信制御の部分は具体的にはSDP (Session Description Protocol, RFC 4566[9-31])で提供されます(第8.1.2項 3)参照).SIPと,RTPによるメディア情報転送プロトコルを組み合わせれば,VoIPを含むオーディオビジュアル通信システムを実現することができます.そのプロトコル・スタックを図9-14に示します.

 

図9-14 SIPシステムのプロトコル・スタック

SIPシステムは,シグナリングのスタックとメディアストリームのスタックからなります.シグナリングのトランスポートにはUDPとTCPの双方が規定され,双方を実装することが必須です.これは,SIPの設計当初(初版のRFC 2543)は処理の軽いUDPを規定していましたが,確実な制御と大きなメッセージを扱う必要性から,RFC 3261ではTCPを加えたためです.メディアストリームのスタックはH.323のそれと共通です.

 

 SIPの核となるプロトコルはRFC 3261ですが,これだけでSIPベースのオーディオビジュアル通信が全て定義されるのではないことに注意が必要で,SIP関連の高度な機能あるいは詳細な仕様を定めたRFCが多数存在します(図9-3参照).
 SIPは3GPPにより2000年に移動網のIP通信用呼制御プロトコルとして採用されたことから,その後固定のIP電話網においても使われ(IETF SIP標準 + TTC JJ-90.21〜25 + 各社の拡張規定),更にNGNのプロトコルとして採用されています(Y.2001[9-32],Y.2011[9-33]参照).ネットワークは電話サービスの提供も含め,急速にIP化していることから,SIPが長期的にはマルチメディア通信呼設定の主力となることが予想されます.
 SIPではデバイス・端末等をピア・ツー・ピアで直接通信可能としているほか,SIPサーバ経由通信では端末がサーバにアクセスし,通信相手端末アドレス解決,利用者のプレゼンス情報を活用した接続,リダイレクトなどのサービスを受けることができます.SIPサーバの役割は次の通りです.

  • プロキシ・サーバ:リクエストやレスポンスを中継する

  • リダイレクト・サーバ:リクエストの宛先の問い合わせに利用する

  • 登録サーバ: IPネットワーク上のUA (User Agent,リクエストを処理する機能要素)の位置情報登録を受け付ける

  • ロケーション・サーバ:登録サーバの指示によってSIP端末の位置情報を蓄積し,プロキシ・サーバやリダイレクト・サーバからの問い合わせに対応する

 なお,メディア情報はサーバ経由通信の場合でも,端末間で直接やりとりされます.
 SIPによるサーバ経由通信の流れを第8.2.3項 図8-23に示しました.ここでINVITE,OKなどのメッセージは,どこからどこへのアドレス,呼IDなど豊富なパラメータを含んでいます.
 SIPベースのオーディオビジュアル通信では,RFCの中に異なる端末が有する能力の交換や適切な通信モードの設定に関する詳細規定がなされていないことから,サービス提供者の設計に委ねられている部分があります.このままでは相互接続性に問題を生じることから,IMTC (International Multimedia Telecommunications Consortium)[9-34]ではH.323システムとSIP制御テレビ会議システムの相互接続性に資するBest Practices[9-35]を整理して発行しています.日本ではTTCでテレビ電話,テレビ会議について必須となるメディア符号化やそのパラメータなどを規定する活動が行われ,IMTC文書も参考にしてSIP制御によるオーディオビジュアル通信システム標準JJ-40.30[9-19]を発行しました.

  • ラベルがありません