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 映像を圧縮符号化した結果には,歪みや雑音が含まれます.符号化前の映像信号と復号後の映像信号を比べ,物理的にどれだけ違っているかをSNR(Signal to Noise Ratio,信号対雑音比)で表現します.ここでSは信号の大きさですが,映像信号の場合,例えば8ビットで表現される信号の場合,黒から白までの最大振れ幅255をSの値とします.この場合のSNRは特にPSNR (Pはpeakを意味します)と呼びます.これに対し雑音の方は各画素での誤差を自乗し,これを画面内の全画素について足し合わせ,その結果を全画素数で割って平方根を取った値をNとして,次式で計算します.
 
 PSNR (dB) = 20 x log10(255/N)

 PSNRは計算機シミュレーションでは容易に求められる値なので,符号化ツールの効果を示すのによく使われています.図6-50はPSNRで評価した各標準の特性です[6-48].H.265/HEVCではH.264/AVCと比べ同じPSNRが半分のビットレートで得られていることがわかります.

 

図6-50 歴代映像符号化標準のPSNR比較

H.261以降H.265/HEVCまでの映像符号化標準符号器に試験画像ForemanのQCIF, 10フレーム/秒版を入力し,ビットレートを変えて符号化したときの復号画像に含まれる符号化雑音をPSNRで示しています.ここでJPEGというのは各フレームを1枚の静止画としてJPEG符号化した場合です.映像符号化標準が世代を追う毎に効率を上げてきた様子が見て取れます.

 

 PSNRは眼で見た品質と対応していない場合もあります.従って,符号化方式の良し悪しは最終的には主観評価実験に頼ります.実験の方法は第5.1節で説明した方法が用いられます.
 図6-51にH.265/HEVCとH.264/AVCを比較した例を示します[6-49].ここではITU-R BT.500[6-50]で規定するDSIS (Double Stimulus Impairment Scale,二重刺激妨害尺度)法を変形した評価方法が適用されています.図の上段に示すようにまず原画が提示され続いて符号化した画像が提示され,評価者は11段階の品質尺度(0点が最低品質,10点が最高品質)で符号化画像の評価結果を表します.PSNRで得られたように,H.265/HEVCはH.264/AVCの半分のビットレートで同じ品質を実現することが主観評価実験でも裏付けられています.

 

図6-51 映像符号化標準の主観評価実験結果例

H.265/HEVCの符号化特性をH.264/AVCのそれと比較した結果です.HDTV試験画像2種類についてDSIS (Double Stimulus Impairment Scale,二重刺激妨害尺度)法で符号化品質を主観評価しています.新しい映像符号化標準は一世代前の標準に比べ2倍の効率向上を図る,という目標が達成されたことを確認できます.

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