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 回線交換技術利用の代表例は,古典的なアナログ電話とISDNです.通信に際し,通信相手と一旦接続されると,エンド・エンド間に一定容量の通信路が確保されます.その通信に関わる伝送路や交換機のネットワーク資源は通信が終わるまで占有されますので,他の利用者に影響されることなく通信ができます.すなわち,一定の通信品質が保たれ変動することはありません.ネットワークの資源以上に通話の申し込みがあった場合は,接続できませんので「話中」として接続を拒絶します.この状態は呼損とも呼ばれます.話中に遭遇する率が高くなると利用者の満足は得られません.話中率は通信品質指標の一つで,市外電話の場合最悪でも10 %というのがアナログ電話網の設計基準になっていました.
 このように通話に先立ち受付できるか否かを判断し,場合によっては受付を拒否して受付済みの通話の品質を確保する技術を受付制御(Admission control)と呼びます.回線交換の特徴はこの受付制御が備わっていることです.
 パケット交換技術利用の代表例はインターネットです.全ての通信情報は所定の長さ(固定長もしくは可変長)で区切られ,パケットとして扱われます.ネットワークの中にはパケットを蓄積し宛先に振り分けるルータが置かれます.パケット交換では受付制御はなく,ネットワーク資源を利用者で分け合って使います.従って,通信の都度,他の利用者の存在に影響されて得られる帯域幅などの特性が変動します.また,通信量が増えてくると,一定の時間内に処理できないパケットはネットワークの中で廃棄されます.筆者のような旧い世代にとって,他人から預かったパケットを廃棄するというのは納得しがたいのですが,回線交換の場合の話中と同様,これにより必要となるネットワーク資源を抑え,通信コストを下げているということです.
 パケット通信の特徴は,ヘッダに宛先やペイロード内容を記すことで,多様なパケットをルータで扱うことができる柔軟性にあります.マルチメディア通信では複数のメディアが同時に使われますので,パケット交換網が効果を発揮します.
 テレビ会議のようなリアルタイム会話形通信では,遅延時間が重要な品質評価項目です.パケット交換網では,メディア情報のパケット化(第7.3.1項参照)やネットワーク内の蓄積で遅延が発生しますので,注意が必要です.

 

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