Page tree
Skip to end of metadata
Go to start of metadata

 テレビ電話サービスの試みと並行し,1970年代初めからその技術の応用が模索されました.ビジネス活動の分析を通じ,ホワイトカラーが多くの時間を費やす会議を効率化するテレビ会議は有望な領域と見なされ,第2.2節で述べましたように各国で電話会社を中心に多彩な実験システム,さらには商用システムの運用が展開されました[2-5][2-32].一例として,NTTの研究所間を結ぶシステムを図2-10に示します.この時代,テレビ会議信号を伝送する広帯域回線は限られていて,それらは電話会社の保有であったことが,電話会社がキー・プレイヤとなった理由です.テレビ会議は,電話会社の公衆サービス・システムとして以外に,我が国では新日鉄,三菱重工,大阪ガスなどで,企業内通信システムとしても運用されたことが注目されます.現在ではネットワークの広帯域化に伴い,こちらの形態が主役になっています.

 

図2-10 初期のテレビ会議室

NTT研究所に1970年代に設置されたテレビ会議室です.音響や照明の配慮が必要であったため,端末装置はそれを収容する会議室と一体化していました.図2-11に示すスプリット・スクリーン表示が用いられています.

 

 またテレビ会議システム設計に資する人間要因面の研究も盛んに行われました[2-33].テレビ会議はテレビ電話と異なり利用者の反応が好意的で,費用と効果が見合うことから,今日に至るまで大企業を中心に普及しています.
 テレビ会議は遠隔地にいる複数の参加者同士で対面通話を可能とするものですから,システム的にはテレビ電話と類似しています.しかし,テレビ会議に固有の点もいくつかあります.端末装置では,複数の参加者像を一画面に効果的に表示する必要があります.横1列の参加者を(典型的には3人ずつの)2グループに分けて撮像し,2階建て画面に合成して送出,受信側ではこれを2台の表示装置に分離して横1列に再現するスプリット・スクリーン技術が生み出されました[2-34].その原理を図2-11に示します.その他テレビ会議に固有の設計条件として,マイクロホン,スピーカによる拡声通話が不可欠で,会議室の音響設計あるいは音響エコー抑制への配慮が必要となります.ネットワーク機能には,予約接続が求められます.テレビ会議は通信に多くの人が参加する,通信時間が長い,会議日時はあらかじめ定められる,などの特徴があり,予定した日時に確実に通信できることが必須となるからです.

 

図2-11 スプリット・スクリーン表示

送信側は2台のカメラで各々3人ずつを撮像し,上下の壁やテーブルの部分を切り取り,1画面に合成(MUX,多重化の意)して受信側に送ります.受信側ではそれを再び2画面に分離(DMUX,多重化の逆)して2台のディスプレイに表示します.

 

  • No labels